感染源の主な種類

感染症の発症には、何らかの病原体の存在が前提となる。病原体は、大きくウイルス、細菌、真菌、寄生虫の4種類に分類され、それぞれ異なる特徴を持つ。

  • ウイルスは自己複製能力を持たず、宿主細胞に侵入し、細胞の代謝システムを利用して増殖する。代表的なものとしてインフルエンザウイルスやコロナウイルスなどが挙げられる。

  • 細菌は自己複製能力を持つ単細胞生物であり、特定の環境下で急速に増殖する。病原性細菌には、大腸菌や黄色ブドウ球菌などが含まれる。

  • 真菌は通常、免疫不全の宿主に感染しやすく、カンジダ症などが代表的である。

  • 原虫や蠕虫などが含まれ、マラリア原虫などが人体に重大な影響を与える。

感染経路

  • 接触感染

    汚染された手指や物品(ドアノブ、医療器具など)を介して病原体が直接的または間接的に伝播する。手指衛生が重要視される理由の一つである。

    主な病気 インフルエンザ、ノロウイルス感染症、ロタウイルス感染症、手足口病、結核、腸管出血性大腸菌、黄色ブドウ球菌感染症、溶血性レンサ球菌感染症、水虫など

    飛沫感染

    咳やくしゃみ、会話により放出された飛沫に含まれる病原体が、近距離の他者の粘膜に付着し感染を引き起こす。インフルエンザや新型コロナウイルスがこの経路で拡散することが知られている。

    主な病気 インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、風疹、麻疹、おたふく風邪、RSウイルス感染症、アデノウイルス感染症、急性咽頭結膜熱、結核、百日咳、肺炎、髄膜炎、溶血性レンサ球菌感染症など

    空気感染

    エアロゾル(微細な飛沫核)を介して長距離にわたって病原体が浮遊し、呼吸器系に侵入する。結核菌や麻疹ウイルスが代表例である。

    主な病気 麻疹、水痘、結核、新型コロナウイルス感染症、結核など

    経口感染

    汚染された食品や飲料を摂取することで病原体が体内に侵入する。サルモネラ菌やノロウイルスがこの感染経路をとる。

    主な病気 ノロウイルス感染症、ロタウイルス感染症、A型肝炎、E型肝炎、腸管出血性大腸菌感染症、サルモネラ感染症、赤痢、コレラ、腸チフス・パラチフスなど

    血液・体液感染

    針刺し事故、輸血、性的接触などを介して病原体が体内に侵入する。HIVや肝炎ウイルス(HBV、HCV)などが該当する。

    主な病気 HIV、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、HTLV-1、エボラ出血熱、ラッサ熱、梅毒、淋病、クラミジア感染症、破傷風、敗血症など

免疫応答

宿主の免疫系は、病原体に対して以下の二段階の防御機構を発動する。免疫応答が不十分な場合、感染は持続し、慢性感染や全身性の炎症を引き起こす可能性がある。逆に、過剰な免疫応答は自己組織の損傷を引き起こすこともある。

自然免疫

  • ・マクロファージや好中球による貪食作用
  • ・炎症反応を引き起こすサイトカインの放出
  • ・インターフェロンの産生によるウイルス増殖の抑制

獲得免疫

  • ・T細胞、B細胞の活性化による抗体産生
  • ・記憶免疫の獲得により、再感染時に迅速な免疫応答を示す
  • ・免疫応答が不十分な場合、感染は持続し、慢性感染や全身性の炎症を引き起こす可能性がある。逆に、過剰な免疫応答は自己組織の損傷を引き起こすこともある